こんにちは。初めまして。りょんです。
今日も日本のどこかでひっそりと暮らしています。
先日、南杏子さんの『いのちの停車場』を電子書籍で読みました。AmazonのキャンペーンでKindle Unlimitedを契約中なのでこの機会にちょっと気になっていた小説を読んでいこうと思いまして。99円(キャンペーン価格)で月にどれぐらい書籍を読めるか挑戦中です。どケチなので最低でも漫画も含め月に5冊は読んでやろうと気合を入れています。(時間、或いは睡魔よ…止まれ…!)
いのちの停車場、吉永小百合さんの映画で名前を知りました。映画はまだ観ていないんですが。
吉永小百合さん、なんと 1945年生まれの76歳。びっくりなんてもんじゃないですよね。違う時空を生きていらしゃるのかな?逆に年齢を上にサバ読んでるんじゃないかって疑いたくなります(失礼)
今回読んだ原作でもたしか主人公の咲和子60代の設定だし、ほんとにお若くて綺麗で、あと見た目だけじゃなくて、なんていうんだろう、お話されている所をみると中身も若々しくてなんだか可愛らしいですよね。どういう徳を積んだらこんな70代になれるのだろう…。といわけで映画は見ていませんが、CM等で完全に咲和子=吉永小百合 のイメージで読み進めていました。(ここからネタバレありです)
物語は咲和子が長年勤めていた東京の救急医療センターを”あること”をきっかけに辞職し、故郷の金沢に帰るところからはじまります。
冒頭の救急の修羅場のシーンはドラマのコードブルーを思い出しました。リアルでは目の当たりにした事は無いですが病院のお医者さんや看護士さん達にとってはこれが日常なのかと思うと本当に尊敬します。
咲和子の帰る故郷は石川県の金沢。私もだいぶ前ですが3ヶ月ぐらいだけ金沢に住んだことがあったので街の描写は懐かしく感じる所もありました。たまに出てくる登場人物達の訛りも。金沢市内の方はそんなに訛りがきつくない方が多いですが(私が県外人だったのでそう感じただけかも)たまーに出てくる訛りやイントネーションが柔らかくて可愛いかった記憶があります。
地元に戻った咲和子は父に頼まれ幼なじみの診療所で訪問医療医になります。そこでは救急医療センターでしてきた仕事とは全く違う仕事を求められます。著者の南京子さんは作家でありながら医師でもあるそうで、在宅という医療現場の問題や背景などがとてもリアルに感じました。
私の話になりますが私の父も私が物心ついた頃から入退院を繰り返すような人で、子ども心にお父さんは家族の中で1番先に死ぬんだろうなと思って過ごしていましたが、いざ病院で危篤状態になり、その姿を目の当たりにすると動揺してどうしていいかわからなくなったのを思いだします。当時中学生で反抗期だった事もあり、父が意識を失う直前までゆっくり話をして来なかったことを酷く後悔しました。その時、母はどんな顔をしていたかは記憶にありませんが父が亡くなったあと、しばらく落ち込んでご飯も食べられない程でした。
やはり心の準備が出来ているようでも、家族の死をまだ本人が生きているうちから受け入れるというのは並大抵なことでは無いです。
作中では様々なタイプの在宅医療を必要とする患者が登場し、患者本人や家族のあり方(死に方や生き方)を咲和子は真摯に向き合いながら寄り添っていきます。中でも9歳の女の子の話では辛くて苦しくて号泣してしまいました。自分の娘が病気になってしまったら…考えだけでも息が止まりそうです。
ラストは咲和子自身の父親の話になりますが、やはり医師といえど、自分の肉親の死には受け入れ難いくる文章から伝わってきて、心臓がぐぅっとなりました。
読み終わりは読み手によって感想が別れる最後だと思いますが、私はこの本に出会えて良かったと思えました。もちろんフィクションの中が全てではないし現実にはもっと厳しかったりどうしようもない問題もあるのでしょうけれど。
家族と、もっとたくさん『死に方』について話せたらいいなと思えました。
文章も読みやすく、すぐに感情移入出来ました。
南杏子さん、他の作品も読んでみたいです。
それではまた。おやすみなさい。
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